証人尋問と当事者尋問

交通事故の被害者が加害者に対して損害賠償を請求しても、話合いで解決することがきない場合に、訴訟提起(裁判)することがあります。

訴訟になると、交通事故の目撃者等、訴訟当事者(原告と被告)ではない第三者を証人として尋問したり、訴訟当事者本人を尋問することがあります。

前者を証人尋問、後者を当事者尋問といい、証人や当事者が法廷で尋問されて述べたことは、証拠として扱われます。

証人尋問と当事者尋問は、訴訟手続き上、次のような違いがあります。

訴訟のルールとして、証拠は、原告(訴えた側)と被告(訴えられた側)が、それぞれ自ら収集して提出すべきとされているため、原告や被告が特定の証人を尋問したいと申し出なければ、裁判所は、証人尋問することはできません。

他方、当事者本人の尋問については、原告や被告の申出がなくても、裁判所の判断で行うことができるとされています。

証人が正当な理由なく出頭しないときは、10万円以下の罰金に処せられたり、10万円以下の過料という制裁金の支払を命じられる可能性があります。

他方、当事者が正当な理由なく出頭しないときは、10万円以下の過料に処せられる可能性があるのみで、罰金等の刑罰が科されることはありません。

宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、偽証罪として3月以上10年以下の懲役に処せられる可能性があります。

他方、宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、10万円以下の過料に処せられる可能性があるのみで、偽証罪に問われることはありません。

交通事故の被害者による損害賠償請求訴訟では、過失割合が争点となる場合に当事者尋問が行われることが少なくありません。

ほとんどの交通事故は一瞬の出来事ですから、事故が発生した状況を、当事者の記憶に基づいて正確に陳述することは至難です。

弁護士は、依頼人である当事者が適切に陳述することができるよう、あらかじめ尋問事項を想定し、依頼人とリハーサル等して、尋問の準備をします。