東京マラソン2024

今年もまた、東京法律事務所に、「東京マラソン2024 交通規制のお知らせ」が届きました。

開催当日は、マラソンコース及び沿道において長時間にわたり交通規制が実施されるため、ご協力ください、というお知らせです。

私の自宅周辺もマラソンコースとなっているので、毎年、自宅にも届きます。

宛名は「東京マラソンコース沿道の皆様」となっており、よく見ると、事務所に届いたものと、少し内容が異なります。「新宿区版」、「千代田区版」、「中央区版」など、8種類のお知らせをエリアごとに分けて配布しているようです。

事務所がお休みの週末は、日頃の運動不足を解消するために、自宅から職場までジョギングで通勤することがありますが、そのルートが東京マラソンコースと重なっているため、知らずにうっかり出かけると、あちこちで迂回することになり、予定が狂ってしまいます。今年は3月3日(日)、覚えておかなければ。

ところで、日頃、多数の交通事故による損害賠償請求事件を担当しているためか、ジョギングや歩行中に、どのような場所でどのような事故が発生しやすいか、警戒ポイントは心得ています。

通勤経路となる東京駅前の横断歩道はとても広く、多数の歩行者が横断しますが、黄色信号で交差点に進入したタクシーが、赤信号に変わっても(歩行者用信号は青色になっているのに)、何台も交差点内を通り過ぎていきます。

道路交通法上は歩行者優先といっても、譲る・待つ、という対策が身を守る最善の方法です。

2023年12月3日に開催された福岡国際マラソンでは、大会車両が競技者に接触して負傷させた事故が発生しました。

17回目となる東京マラソン2024は、3万8000人のランナーが参加するとのことです。

事故などが発生することなく、安全に行われますように。

交通事故による損害賠償請求権の消滅時効

交通事故の被害者が、長期間、加害者に対して損害賠償請求しないままでいると、損害賠償請求する権利が時効によって消滅する危険があります。

民法は、車の修理費、代車代等、物の損傷を理由とする損害(物的損害)と、怪我の治療費、慰謝料等、身体の傷害を理由とする損害(人的損害)とは、それぞれ異なる時効期間を定めているため、注意が必要です。

物的損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年経過すると、時効が完成します。
人的損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から5年経過すると、時効が完成します。

3年や5年は長いと感じる方も多いかもしれませんが、事故で重傷を負うと、請求時には事故から3年、5年が経過しているケースも珍しくありません。

例えば、次のようなケースです。

バイクを運転中にトラックに撥ねられ、多数か所を骨折した被害者が、数か月入院し、退院後も経過観察やリハビリのために通院を続けました。しばらくして、加害者の保険会社に治療費の支払いを打ち切られましたが、その後も2年間治療を続け、結局、複数の症状が残ったまま症状固定となりました。
そこで、自賠責保険会社に対して後遺障害の申請をしたところ、等級認定機関(損害保険料率算出機構)が種々の医療照会を実施して、事故から3年6か月後に結果が出ました。
ところが、その結果は受け入れがたい内容であったため、さらなる資料を収集して、自賠責保険会社に対して異議申立てをしたところ、事故から4年6か月後にようやく納得のいく結果が出ました。
事故によりバイクは廃車となりましたが、治療費支払いの打切り後は、加害者の保険会社から連絡がなくなり、負傷してバイクに乗ることができないので買い替えることもなく、バイクや事故時に身に着けていた衣服やヘルメット等、物的損害について請求していませんでした。
そこで、異議申立てをして後遺障害の結果が出た後、人的傷害と物的損害を合わせて賠償請求しました。

このように、治療を続けたり、後遺障害の申請をしているうちに事故から数年が経過している場合は、物的損害賠償請求権や人的損害賠償請求権が時効によって消滅することのないよう、時効の完成猶予や時効の更新という手を打っておかなければなりません。

事故からすでに長期間が経過している方は、早めに弁護士にご相談ください。