自転車用ヘルメットの着用義務

令和5年4月1日から施行された改正道路交通法は、これまでの児童や幼児の保護責任者だけでなく、あらたに自転車の運転者にもヘルメット着用の努力義務を課しています。

(自転車の運転者等の遵守事項)
第63条の11 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

上記条文のように、「努めなければならない」という努力義務を定めたにすぎず、ヘルメットを着用しなくても、処罰されることはありません。

しかし、ヘルメットを着用しないで交通事故に遭った場合、加害者から支払われる賠償金が減額される可能性があります。

例えば、ヘルメットを着用しないで自転車を運転し、青信号で交差点に進入したところ、赤信号で交差点に進入してきた自動車に撥ねられて頭部を損傷して死亡した場合、加害者側から、ヘルメットを着用していれば死亡しなかった可能性が高いことを理由に、被害者にも5%の過失があるなどと主張されるかもしれません。

自転車事故により被害に遭った方は、弁護士に相談することをおすすめします。

休車損害の算定方法(休車期間)

休車損害は、事故に遭った営業車が1日当たりに得る利益に休車期間を乗じて算定します。

休車期間は、相当な修理期間または買替期間です。

そのため、事業主が、正当な理由なく、修理や買い替えを遅滞させた場合、休車期間が制限されることになります。

例えば、平成31年2月8日東京地方裁判所判決は、大型の冷蔵冷凍車について、原告が「原告車の修理にも代替車の取得にも数箇月を要するが、原告は原告車の他に冷蔵冷凍車を保有していないから、少なくとも6か月分の休車損が生じた」と主張し、これに対し、被告が「原告車の買替えに要する期間は1か月程度で足りる」と主張したところ、「原告車の損傷状況等に関する被告保険会社による調査が本件事故後約1か月を経過した平成28年8月22日に行われたこと(甲3)、前記1(2)のとおり、取得した車両を原告車に替えて使用するには相応の整備を要することからすれば、原告車の買替えに要する相当な期間は4か月間であると認められる。原告は、修理工場から修理には少なくとも6か月はかかると言われ、また、被告保険会社は平成28年12月になって初めて原告車の修理の内容及び金額を原告に説明したなどとして、少なくとも6か月分の休車損が生じた旨を主張するが、修理に6か月もの期間を要することを裏付ける的確な証拠はないし、被告保険会社との交渉に期間を要したとしても、そのために修理や買替えに着手することができないわけではないから、原告の主張はいずれも採用することができない。」と判示しました。