休業損害の計算(基礎収入日額と所得税)

大雪による被害が相次ぐ中、東京都心も積雪しました。

さて、交通事故により負傷した被害者が休業を余儀なくされて収入が減少した場合、加害者の保険会社に対して休業損害を請求することができます。
休業損害の計算式は、「被害者の1日あたりの収入(基礎収入日額)×休業日数」です。

給与取得者は、勤務先が作成した休業損害証明書に基づき、自動車事故による休業がない直近3か月間の支給金額から基礎収入日額を算出します。

ここでいう支給金額とは、手取りの金額ではなく、税金等が引かれる前の額面の金額です(非控除説)。

これに対し、休業損害は、税法上非課税とされているため、被害者が稼働した場合に得たであろう純収入以上を賠償させるべきでないとして、基礎収入日額から所得税分を控除すべきとの考え方もありました(控除説)。

昭和45年7月24日最高裁判所第2小法廷判決は、「被上告人が本件事故による負傷のためたばこ小売業を廃業するのやむなきに至り、右営業上得べかりし利益を喪失したことによって被った損害額を算定するにあたって、営業収益に対して課せられるべき所得税その他の租税額を控除すべきではないとした原審の判断は正当であり、税法上損害賠償金が非課税所得とされているからといつて、損害額の算定にあたり租税額を控除すべきものと解するのは相当でない。」と判示し、非控除説を採ることを明らかにしました。

同判決は、非控除説を採る積極的な理由を明示していませんが、賠償金に課税するかどうかは国と被害者との関係として立法政策によって決まることであり、国が課税しないこととした結果、被害者が利益を受けるとしても、その分だけ加害者が負担を免れることの根拠とされるべきではないとの説明が可能と考えられます。