利益相反事件(弁護士法25条2号)

前回に続いて、弁護士法25条2号と3号について、ご説明します。

弁護士法25条2号は、「相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められる」事件について、職務を行うことを禁止しています。

1号の定める「賛助」がなく、「依頼を承諾」していなくても、2号の条件にあたる場合は、利益相反事件として扱われます。

つまり、2号は、1号と異なり、まだ受任していないことを前提とし、「賛助」するに至っていない段階であることを前提としつつ、1号と同程度の強い信頼関係に基づく協議をしたことを予定しています。

25条2号の趣旨も、25条1号と同様、2号に規定する事件について職務を行うことは、先に協議をした相手方の信頼を裏切ることになるため、あらかじめ禁止することにあります。

「信頼関係に基づく」といえるかどうかは、相談の態様、具体性の有無、開示情報の内容や程度等によって判断されます。

例えば、道端で立ち話をした際の相談、詳細な事実関係を示すことなくされた抽象的な相談にとどまるときは、信頼関係が形成されているとはいえないことが多いでしょう。

他方、証拠の提示や秘密の開示を伴う相談は、2号違反となることが多いでしょう。