高齢者・失業者の後遺障害による逸失利益

前回のお話の続きです。

後遺障害による逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

によって算出されます。

基礎収入は、原則として、交通事故当時の現実の収入を基準とするため、事故時に無職で収入がない被害者は、原則として、逸失利益がないことになります。

しかし、例えば、高齢の方が事故時は無職であったとしても、事故前の職歴、年齢、事故当時の生活状況等から、就労の蓋然性があれば、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・男女別・年齢別平均の賃金額を基礎として、逸失利益が認められる場合もあります。

また、例えば、前職を辞めて転職活動中に事故に遭ったり、病気や介護等、何らかの理由で退職した後に事故に遭う等して、事故時に失業中であった方も、事故前の職歴や収入、学歴、年齢、無職に至った経緯、事故当時の生活状況等を考慮して、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があれば、逸失利益が認められる場合もあります。

その場合、原則として、失業前の収入等を参考として、再就職によって得られるであろう収入を基礎とします。

失業前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られる蓋然性があることを証明することによって、男女別の賃金センサスを基礎とするケースもあります。

無職の方に逸失利益が認められるかどうかは、事故前の職歴や収入、学歴、年齢、無職に至った経緯、事故当時の生活状況等、個別の事情によって異なります。

事故当時、無職であったからと簡単に諦めず、まずは、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。