民事裁判手続のIT化(公示送達の方法)

弁護士や大学教授らを委員とする法制審議会 民事訴訟法(IT化関係)部会は、令和2年6月から、民事裁判手続のIT化に向けて議論を重ね、訴え提起、準備書面の提出、送達、口頭弁論、証拠調べ、証人尋問、判決、和解、訴訟記録の閲覧等、あらゆる場面でインターネットを用いる方法が検討されています。

公示送達の方法について、現行の民事訴訟法111条は、「公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。」と定めています。

IT化関係部会においては、裁判所がインターネットにより情報を公示することに加え、書記官が裁判所の掲示場に掲示するか、又は裁判所に設置した端末でその内容を閲覧することができる状態にするという方法が提案されています。

これは、インターネットを利用していない人が送達を受ける機会を失うことになりかねないことを考慮し、裁判所に赴けばその情報を得られるにようにすべきという提案です。

この提案に対し、同部会では、日本全国の支部を含む地方裁判所すべてに赴くことは非現実的であり、掲示場における掲示を残す必要はないという意見も示されたようです。

裁判所に行くと、掲示場に掲示された公示送達が目に留まりますが、実際にこれをみた被告が訴状を受領する例はほとんどないものと思われます。

インターネットによる公示のほうが、少しは実効性が上がるのでしょうか。