つくばエクスプレス

依頼人の通院先に同行するため,茨城県の病院に行ってきました。

日曜の夕暮れどき。

つくばエクスプレスの車窓から,見知らぬ街々の風景を眺めていると,ちょっとした小旅行気分になります。

空が暗くなると外灯や車のライトが点きはじめ,街々から休日を名残惜しむような気配を感じます。

無差別殺傷事件の犯行動機 

たまには休日らしいことをしてみようと,急きょ予定を変更して,私が所属する東京駅法律事務所を抜け出して,映画館に行くことにしました。

ジャンルはコメディー,場所は銀座,アメリカ映画かイギリス映画,ちょうどよい上映時間,を条件に探したところ,ウディアレン監督作品に決定。

厭世的で自殺願望のある哲学科の教授が,悪徳判事を殺す計画をたてて実践することで,生きる喜びを見出していくというストーリー。

以下,少しだけネタバレにご注意ください。

殺害のきっかけは,たまたま同じ店内に居合わせた女性らの,悪徳判事によって親権をはく奪されそうになっていて窮地に追いやられている,判事の死を願っている,という会話を耳にしたこと。

見知らぬ女性を救うために見知らぬ判事を殺すことが,なぜ生き甲斐になるのか,私にはピンときませんでした。

一緒に観た友人は,善を助け悪を懲らしめる正義のヒーロー的感覚でしょう,設定としては特に無理はないとのこと。

たびたび出てきた実存主義の考え方とも関係があるのかもしれません。

 

そこで,現実に起きた同様の殺人事件の動機について少し調べてみたところ,2013年の法務省による無差別殺傷事犯に関する研究結果として,次の記載がありました。以下,抜粋です。

本研究において,無差別殺傷事件とは,「分かりにくい動機に基づき,それまでに殺意を抱くような対立・敵対関係が全くなかった被害者に対して,殺意をもって危害を加えた事件」としています。

無差別殺傷事件の犯行動機について,殺人事件の動機は,事件ごとに特徴があり,特に,無差別殺傷事件については,その性質上,動機は,一般的に理解し難いものであるが,ある程度の共通点を見いだすことは可能である。そのため,調査対象事件について,裁判所において認定された動機内容をそれぞれ精査した上で,共通点を抽出することとした。犯行動機としては,Ⅰ「自己の境遇への不満」,Ⅱ「特定の者への不満」,Ⅲ「自殺・死刑願望」,Ⅳ「刑務所への逃避」,Ⅴ「殺人への興味・欲求」の五つの類型を見いだすことができる。

Ⅰ「自己の境遇への不満」とは,自己の置かれた境遇や現状に対する不満やいら立ち等を晴らすため,無差別殺傷事件に及ぶものであり,例えば,自己に発生した事柄について不満を抱いて,その気持ちを晴らすための憂さ晴らしとして他人に対する殺害を考えるもの,自己が正当に評価されていないことから社会に不満を抱き,社会の構成員を殺害しようと考えるものなどをいう。

調査対象者においては,Ⅰ「自己の境遇への不満」型が最も多く,Ⅲ「自殺・死刑願望」 型,Ⅴ「殺人への興味・欲求」型は多くはない。

 

なるほど。映画の教授も,Ⅰ「自己の境遇への不満」型に属するといえそうです。

自己正当化のために正義のヒーローに名を借りた,憂さ晴らしというのが実態でしょうか。

ビートルズ50周年記念 

1966年6月29日の未明,日本武道館ライブのため,待ちに待ったビートルズがやって来た!

というわけで,ビートルズ来日50周年を記念する様々なイベントが開催されています。

この時,まだ私は生まれていませんが,父親や年上の友人らが聴くビートルズを耳にして育ち,好きな曲も多数あります。

当時のコンサート映像を見ると,歓声を上げて今にも失神しそうな若い女性たちの熱狂ぶりに,大丈夫かと心配になるほどです。

当時,ロックを聴くと不良になるとして親たちがコンサート行きを禁じたこと,ジョンとヨーコの関係や平和活動が社会的に物議をかもしたこと,ジョンの死に関する疑惑等,社会現象としても興味深いエピソードが多々あります。

最近の音楽シーンには疎いのですが,ジャンルが細分化され,好みも多様化している現代では,こうしたバンドは出現しにくいのかもしれませんね。

医療機関における顧客満足度・その2

交通事故の被害者の方々のお話を伺っていると,病院の医師の対応について不満を感じていることが少なくないようです。

診察までに長く待たせた挙句,患部に触れることもなく,患者の訴えにきちんと耳を傾けず,治療方針について語らず,治るのか治らないのかも不明,この先一体どうしたらよいのか,といった具合です。

こうした医師の診察への不満は,交通事故の被害者に限られません。

通常の傷病での診察においても,あちこちから同じような不満が聞こえてきます。

私自身も,診察の在り方については,もう少し改善されないものかという思いがあります。

だからこそ,良い医師に会ったときは,不安が和らぎ,治ったら,感謝の念でいっぱいになります。

歯科医らに続いて,病院の医師らも,顧客満足度を意識する時代はやってくるのでしょうか。

医療機関における顧客満足度

ずっと以前から,良い歯科医を探し続けてきました。

ネット情報は当てにならないため,友人・知人らに尋ねたり,定期検診の際にいろいろな歯科医院を訪れたりした結果,信頼できる歯科医に出会うことができました。

最近は,虫歯になると,すぐにインプラントを勧める歯科医が多いところ,私の担当医は,できるかぎり,抜いたり削ったりしないで,時間をかけて,自然治癒力を活かす治療をしてくれます。

毎度,丁寧で分かりやすい説明もしてくれますし,私のスケジュールにも配慮して,治療計画をたててくれます。

通院に片道1時間以上かかるのが難点ですが,懇切丁寧で適確な治療には替えられません。

個人の歯科医院は,乱立気味で,経営が困難といわれています。

私たち患者のニーズに応えてくれない歯科医院は,淘汰される時代に変わりつつあるようですね。

紫陽花

皇居ランをすると,外周を取り巻く木々や花々の変化によって,四季の移り変わりを感じます。

今日,目に留まったのは,紫陽花。

小さくなって散りゆくサツキに変わって,

あちらこちらで紫陽花が,かわいらしい花を咲かせて,瑞々しい青や紫に輝いていました。

紫陽花を楽しみつつも,梅雨の訪れを知らされ,清々しい風薫る季節に,後ろ髪をひかれる思いでした。

黙秘権を行使するには

東京弁護士会主催の刑事弁護の研修に参加しました。テーマは接見です。

身柄を拘束された被疑者や被告人は,捜査機関による取調べを受けます。

否認事件等,取調べに対して黙秘することが,有効な防御方法となるケースがあります。

このとき,弁護人が被疑者らに,

「あなたには黙秘権が保証されているので,黙秘権を行使してください。」とか,

「捜査官に質問されても,何も答えないでください。」

などと説明をしても,いざ実行するとなると,簡単にはいきません。

敵陣である密室で,取調べのプロである捜査官に,何時間も,あれやこれや質問されて,ひたすら緘黙するのです。

留置場に何日も拘束され,外界から遮断され,毎日,厳しい取調べを受けていると,誰もが心身ともに疲弊していきます。

弁護人として黙秘権を行使するよう勧めるのであれば,

「取調べ室に入ったら,一言も話さない。最初の挨拶もしない。」

「体調は? 等の世間話にも一切応じない。」

「椅子に座ったら,両手を拳にして,両ひざの上に置く。」

などの,具体的な行動まで提示することが大切である,と学びました。

たしかに,民事事件と同様,依頼人が求めているのは,実行可能な具体的なアドバイスですよね。

うっかり答えてしまわないよう,「捜査官の話を聞かないで,別のことを考える。」という方法も有効かも。

「明日,また来ますね。」など,次回の接見日を具体的に伝えれば,明日までなら何とか持ち堪えられるかも。

いろいろと工夫できそうです。

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事故と症状との因果関係

ジョギングの影響なのか,負傷したヒザではなくて,足の甲に違和感が出てきました。

交通事故で頸椎を捻挫した方には,事故から何日か経った後,肩や背中等にも痛みが出てくることが,少なくありません。

これは,

首の靭帯や筋肉を傷める→身体を庇って本来の動作を避けようとする→首の関節可動域が狭まる→関節や筋肉が緊張して固まる→骨の歪みが生じる→肩,腕,頭,背中等にも痛みが生じる

などと説明されたりします。

こんな話を思い出し,私も,ヒザを庇って無理な態勢で走ったから,甲に異常が出たのかな,などと考えました。

身体症状についての因果関係の立証には,いつも苦労します。

ジョギング再開

気持ちの良い季節になったし,GWだし,プールに続いて,ジョギングを再開しました。

最初は,恐る恐るゆっくりと。転ばないように,ちょっとした段差にも気を付けながら。

一度ケガをすると,慎重になりますね。

いつものコースは皇居外周の約5キロですが,半分くらいの距離で,ヒザに違和感が出てきました。

ムリしないように自重して,残りはお散歩にしました。

久しぶりに走ってみると,身体の重みを実感します。

身体を動かすと,脳内に何か良い物質がでるのか,不思議と前向きな気分になります。

は~,気持ちよかった。

プール再開

ヒザの負傷から1か月半が経過しました。

そろそろ体を動かしたい。

まずは負担の軽そうな運動からと,2か月ぶりにプールで泳いできました。

ラッキーなことに,プールには私一人だけ。自由に遊べます。

泳いだり,歩いたり,潜ったり,浮いたり,ゆるゆると水と戯れてきました。

以前のように続けて泳ぐことはできなかったので,

リハビリ気分で,少しづつ体力回復を目指します。

裁判官の交代

4月は異動の時期。

裁判官は,国家公務員ですから,その配属先は,全国に及びます。

4月は,裁判官の異動に伴って,裁判の途中で,担当裁判官が変わることがよくあります。

交通事故の裁判では,通院治療費や慰謝料が争点となることも多く,これらの損害額は,客観的な資料から一義的に定まるわけではありません。

担当裁判官の性格や価値観によっても,認定額が変わってくるのです。

そのため,担当裁判官が交代する事件では,後任者の考え方が気になるところです。

今日の裁判では,前任者の提示した和解案をベースにして,なんとか合意に至りました。

和解を成立させたいという気持ちは,多くの裁判官が共通してもっているようですね。

さくら通り

私が勤務する東京駅事務所は,東京駅を出て「さくら通り」を通過した場所にあります。

さくら通りは,その名のとおり,お花見の名所なので,4月初旬の週末は,ブルーシートの即席宴会場がたくさん出現しました。

日々,ハラハラと散りゆく花びらを眺め,今は,葉桜の緑が次第に濃くなっていく様を楽しんでいます。

数日前から,沿道に植えられたツツジが,鮮やかなアザレアピンクの花びらを開き始めました。

そして,夜。

自宅の集合玄関前には,ちょっと前からフリージア,最近は,ライラックやクレマチスの植木鉢が並び,仕事帰りの私を,優しく迎えてくれます。

4月1日

入学,入社,人事異動,新しい生活がスタートする時期ですね。

私の周りでも,大学卒業したてのスタッフを事務所に迎えたり,進行中の事件の裁判官や保険会社の担当者が変わったりと,人の出入りが多くみられます。

昨夜,古い友人から'宝くじに当たった'的なメールが届き,エイプリルフールだと気付きました。

異動やお花見で何かと忙しい4月1日に,彼だけが,毎年欠かさず,可笑しなメールをよこしてきます。

バレンタインやハロウィーンと違って,エイプリルフールはもはや風前の灯。

私は,「サザエさん」で学んだ記憶ですが,最近では,エイプリルフールという風習を知る機会さえないのでしょうか。

通院慰謝料・その3

医師にあまり動くなと言われたものの,仕事柄,裁判所への移動は欠かせません。

私が勤務する事務所は,東京駅に所在するためか,管轄裁判所は,関東一円に及びます。

昨日は千葉地裁,今日は東京地裁の後に横浜地裁,明日は入院中の依頼者との打合せのため水戸へ,といった具合です。

膝のケガはずいぶん良くなったものの,まだ,階段の上り下りができません。

最近の主要な駅は,車いすやベビーカー,キャリーバッグをひく人のために,エレベータや歩行用のスロープが設置されています。あぁ,ありがたい。

とはいえ,階段を避けるために,広い駅の中,エレベータを求めて回り道をすることは,けっこうな時間がかかります。

その上,同行者がいる場合には,私の歩行ペースに付き合わせてしまうことになり,それはそれは申し訳なく感じるのです。

かくして,今日もまた,交通事故の被害者のみなさまの苦痛に思いを致し,被害者にはきちんと通院慰謝料が支払われなければ,と感じるのでした。

早く普通に動けるようになりたい・・・。

通院慰謝料・その2

膝のケガの診察のため,平日の朝,大学病院に行きました。

病院は,朝からたくさんの人で大賑わい。

9時10分の予約でしたが,当然のように待たされ,医師に対面したのは,90分後。

今日は,救急外来で診てもらった医師とは別の医師でした。

救急外来時に撮ったレントゲン写真を見ながら,「うーん,やはり骨にヒビが入っているようですね。」

・・・え,そうなの? 前回は,骨折もヒビもないと言われたのに・・・。

「痛みがとれるまでに,あと1か月くらいはかかるでしょう。それまでは,あまり動かさないように。悪化したら,また病院にきてください。お大事に。」

1か月動くなという,無理難題を言われ,診察は1分で終了。

私には使いこなせなかった松葉杖の返却手続やお会計をすませて,約2時間経過。

さっそく医師の言いつけを破って,急いで勤務先の事務所に駆けつけました。

病院までの移動時間を加えると,通院には,約3時間を要します。

仕事を休まざるを得ない通院事情とはっきりしないケガの行方。

自損事故の私はともかく,今日もまた,交通事故の被害者には,きちんと休業損害と通院慰謝料が支払われなければ,と感じたのでした。

松葉杖と通院慰謝料

昨日,ジョギング中に転んで右ひざを強打しました。ジョギングどころか,歩くこともままならない状態に。

今朝,病院に行ったら,人生初のギプス+松葉杖となりました。

ケガをすると,日常生活に数々の支障が発生しますね。

安静にして歩くなと医師にいわれても,お仕事は休めません。事務所や裁判所への移動は,松葉杖で平気かしら。いつもの何倍もの時間がかかりそう。

ショルダーバッグはもてないので,リュックサック。着られる衣服や靴も制限されます。

診察まで長く待たされるので,今後の通院は,1回につき半日とられてしまいます。

ギプスをしていると,椅子に座って机に向かうことも難しい。

お風呂や着替えにも,手間がかかります。

松葉杖の歩行は,腕や手の力に依存するので,転んだときの手のひらの擦り傷が悪化し,腕は筋肉痛になるという二次被害も発生。

自分で転んだだけでも,こんな具合です。

交通事故で負傷した方々のご苦労には遠く及びませんが,少しだけ身を持って体験しています。

こうした苦痛をお金で解消することはできないものの,交通事故の被害者は,通院慰謝料によってしっかりと賠償されなければならないなと,あらためて感じます。

図らずも,依頼者の方々の,慰謝料の重みを体感することができました。

東京マラソン2016

日曜日に,第10回東京マラソンが開催されましたね。

今年の抽選倍率は,過去最高の11.3倍。一般募集の定員2万7370人に対して,30万8810人が応募したそうです。

たしかに,私の周りにも参加者がちらほら。

姉や友人らは,何年間も落選した末に当選。過去の落選結果が考慮されるのか,単なる確率の問題か。

兄は,10万円以上の寄付が要件となっているチャリティランナー枠で,するっと参加。

取引先のスポンサー枠をもらって,夫婦そろって参加した二人もいました。

私が勤務する東京駅事務所のすぐ近くがコースとなっているため,ちょっと応援に出かけたい気分になります。

ランナーのみなさま,おつかれさまでした。

バレンタイン

2月14日が近付くと,あちこちでバレンタインフェアが開催されます。

チョコレート好きの私にとって,うれしい時期。

世界各国から,著名なショコラティエたちの傑作が,わが街にやってきます。

中でもサロン・デュ・ショコラのラインナップは素晴らしく,毎年,お目当てのチョコレートを手に入れるための争奪戦が繰り広げられます。

かくして今年も,贈り物はそこそこに,自分のために大量のチョコレートを買い込んでおります❤

「英雄」ポロネーズ

仲道郁代さんのピアノ・リサイタルに行きました。

ショパンのワルツにうっとりしていたところ,ラストの「英雄」ポロネーズが圧巻でした。

この曲は,ショパンが祖国ポーランドを讃えるために書いたもので,戦争に苦しむ故郷の人々を大いに勇気づけたそうです。

ショパンは,20才のときポーランドを離れてウイーン・パリに移り住み,39才の若さで息を引き取るまで祖国に戻ることはありませんでした。

自ら異国に身をおきながら,祖国を愛する気持ちは,消えるどころか募っていったのでしょう。

ポロネーズはポーランド独自のリズムですが,国を超えて,時代を超えて,そして信条を超えて,世界中の人々に訴えかける力をもっています。

芯が強い仲道さんの演奏とあいまって,私も勇気づけられました。

上村君事件

裁判のため横浜地裁に行ったら,入口前には,傍聴席を求める方々の列と報道陣が。

後で,多摩川河川敷で上村遼太君が殺害された事件の裁判員裁判の期日だと知りました。

 

裁判員裁判が始まって,法廷内での審理方法は,以前とはまったく変わったといえます。

以前は,裁判官と検事と弁護人にしか理解できないようなやり取りが行われ,傍聴人はもちろんのこと,当の被告人でさえ,彼らの言葉を聞き取ることすら難しいような状況でした。

今は,裁判員に審理の方法や量刑の在り方を理解してもらえるように,裁判官も検察も弁護人も,分かりやすい言葉で,はっきりと,説得的に話すように変わりつつあります。

被告人の言い分は,取調べの際に捜査機関が作成した供述調書によるのではなく,法廷で被告人自身に話してもらうという方法がとられるようになっています。

書面による証拠調べをするときは,検事や弁護人が,そこに何が書いてあって,それが犯罪の認定にどのような意味をもつのかについて説明し,裁判員に納得してもらえるよう努めています。

 

被告人には,憲法によって,公開裁判を受ける権利を保障されています。

裁判員裁判の功罪は議論されているところですが,このような変化に伴い,多数の市民の傍聴にも堪えられるような審理を実現し,ひいては裁判の公開の原則を実質化することにつながりそうです。